子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術
子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE : uterine arterial embolization)のご案内
子宮筋腫に対して球状塞栓物質(エンボスフィア)を用いた子宮動脈塞栓術が2014年1月から保険適応となりました。
当院放射線科では産婦人科医師および麻酔科医師と連携をとり、症状コントロールや手技前後の全身管理および疼痛管理を行います。
産婦人科及び放射線科を受診していただき、2科の受診にて筋腫治療の適応判断を行います。
子宮筋腫により起こりうる症状として、月経が長期間続く経血量が多い、貧血といった月経に関係する症状、尿が近いや便秘、足がしびれるといった臓器圧迫症状などがあります。
子宮動脈塞栓術は、子宮筋腫が原因で起こる症状を軽減する治療法です。
子宮筋腫に栄養を送る子宮動脈にカテーテルという細い管をいれ、塞栓物質を流して子宮動脈血流から筋腫への血流を減らすもしくは遮断することにより、筋腫を衰えさせる治療法です。
はじめに太ももの付け根に局所麻酔を行い、大腿動脈に細い管(カテーテル)を入れます。
造影剤(X線写真に写る薬)を流して写真を撮りながら、左側の子宮動脈にカテーテルを進めます。次に塞栓物質を造影剤と混ぜてX線透視画面で見ながら子宮動脈の流れが停滞するまで注入します。
反対側の子宮動脈も筋腫の栄養に関与している場合塞栓します。カテーテルを体外へ抜去し、針の穿刺部位を手で圧迫止血して終了です。
入院期間は3泊4日です。所要時間は血管の走行などにもより個人差がありますが、1〜2時間程度で、この後4時間(場合によっては6時間)は鼠径部を固定・圧迫して病院室でのベッド上で絶対安静にします。その後、徐々に動くことができるようになります。
疼痛管理
塞栓術の後は強い痛みが生じる頻度が高く、当院では手技の際には麻酔科管理により硬膜外麻酔による疼痛コントロールをおこないます。
その後静脈注射による鎮痛剤の静脈点滴や内服薬を服用します。術後1週間ぐらいは微熱、腹痛を認めることがあります。
効果
塞栓物質としてエンボスフィアを用いた場合、子宮動脈塞栓術をうけた方の64-94%に自覚症状の改善が認められ、筋腫の大きさは半年から一年で49-78%縮小(もとの半分から1/3の大きさに)するといわれています。
塞栓が十分できない場合などに症状が再発することがあり、この場合は再度治療を行ったり、ほかの治療(ホルモン治療、手術)を行ったりする必要があります。
副作用
おこり得る副作用としてアレルギー反応(6.1%)、カテーテルを入れた部位の出血・血管損傷(4.5%)、深部静脈血栓・肺血栓塞栓症(0.2%)、塞栓後症候群(発熱、痛み、吐気、嘔吐、白血球増多)(3~5%)、筋腫分娩(4.7%)、感染(2.5%)、無月経(45歳未満では0~3%、45歳以上では20~40%)などがあります。
他の副作用に対しては、予め予想のつくものに対しては予防的な処置をしますし、症状が出現した場合にも可能な限り軽い症状で収まるように適切かつ最大限の対処を行います。
外来受診
木曜日産婦人科外来の近藤春裕医師の外来を受診してください。
紹介状やMRI画像があればお持ちください。当院でのMRI撮影は別日に予約しての撮影となります。